かすがい東部丘陵自然観察会
                               


春日井の東部丘陵の中心みろくの森、築水の森を主なフィールドに、動植物の観察や調査、児童・市民の自然体験などをサポート。


主な活動は月々の観察会と、環境省モニタリング1000への参加、少年自然の家からの受託事業である市民や児童対象の自然体験のガイド。
 自主事業である例会は月に1回、第4土曜日(9:30〜12:00)、少年自然の家の下(北側)の第3駐車場に集合しておこなわれます(平成26年6月から実施)。築水の森の動植物観察や調査が主な内容です。参加者は会員が中心ですが、会員の紹介による参加や、たまに飛び入りもあり、比較的ゆるやかに門戸を開いています。会員は、独自に学んだことを例会で披瀝しあい、お互いに研鑽を積んでいます。例会を相互のスキルアップの場としているのです。市民や児童へより良いガイドをするには、不断の勉強が欠かせないという考えに立っています。
 自主事業としては市民共育講座「なごや環境大学」もおこなっています。名古屋市から助成を受けての開催です。年におよそ6回(2013年度までの実績)、会員が交代で講師を務めます。一般市民や子どもたちが対象です。屋内で3、40分の座学のあと、野外で昆虫や季節の花などの観察をします。
 もう一つの自主事業に環境省モニタリング1000への参加があります。100年先を見据えた生物多様性の持続のため、自然環境の調査の担い手となる多くの市民が求められており、当会は、地元でのホタルやチョウ、ニホンアカガエルなどを継続的に調査して、データを事務局へ提供しています。
 受託事業は、少年自然の家から依頼される「わくわく自然ランド」や「ファミリーキャンプ」などのガイド、それに、小学5年生の「野外学習」での登山、ハイキングなどの支援が中心です。ドングリや落ち葉など自然素材による工作の手伝いもあります。
 人々とのそのような交わりをとおして、自然のおもしろさや驚き、不思議、感動などを体感していただくことがわたしたちのねらいです。参加者から喜びの表情や感嘆の言葉が発せられるとき、わたしたちはこの上ない喜びを感じます。

【定例会】(自主事業)
 この日は、年に何度もない雪の自然が観察できる好機と、気が弾む例会となった。袖に降りかかった雪をルーペで拡大した参加者。「へー、『雪印』のマークと同じだ。初めて見た!」
 すると、別の人がまぜっかえす。
「自然って、人間のデザインにそっくりなのだ」
 皆は一瞬、「?」と思いながらもギャグと分かり、盛り上がる。早春の雪は淡い。吐く息ですぐに消えた。
 散策路を進むと、路上でアオジが雪をかき分けていた。落ち葉の下の草の実か何かを探しているらしい。近づくとパッと飛び立った。そろそろペアリングが始まる時期だ。
 雪の上にウサギなどの足跡がないかと探したが、見つけることはできなかった。
【なごや環境大学共育講座】(自主事業)
 名古屋市から助成を受けて企画・開講している。年間ほぼ6回の開講して平成26年度で継続10年となる。テーマは、鳥や昆虫、季節の植物などを選ぶが、「春日井・築水の森の自然と保全」が通しのタイトルだ。
 屋内で3、40分座学の後、フィールドで自然観察や調査をする。
 春日井の東部丘陵ではこの地特有の希少な生き物が見られる。地元で保全活動を実践している当会メンバーが講師を担当する。多様な生き物を再発見し、自然環境の維持・保全の大切さを考えるきっかけにしている。
 写真(右)の講座では、「希少な植物の生育する湿地に侵入した外来植物の調査」をテーマに講師の話を聞き、実地調査をした。
*場所…春日井市少年自然の家と周辺の森
*集合…少年自然の家の玄関に向かって左側    「受付テーブル」へ
*時間…10:00〜12:30
*対象…一般から〜中学生まで
*受講料…330円
*開催日…年度により一定していないので、     詳細はお尋ねください。
【なごや環境大学共育講座】(自主事業)  この回のテーマは「ナラ枯れ跡地の空白域に生育しはじめた植物の調査」である。
 どんぐり系統の木がカシノナガキクイムシにやられて立ち枯れする「ナラ枯れ」が全国で問題になっている。ナラ枯れの木は、周辺への被害拡大を防ぐため、倒伐される。築水の森でも被害が目立ち、多数のどんぐりの木が切られた。
 一般に、森の樹木が落雷などで倒れてそこに樹木の空白域ができると、それまで眠っていた各種植物が日差しなどの条件の条件がよくなったことで発芽・生育する。たとえばどんぐりの親の木が倒れると、その下の幼木やどんぐりが次世代の木として跡を継ぐ。実際には他の植物との競争に敗れもするが……。
 写真のポイントではナラ枯れ倒伐跡の空白域150平方メートルに前年の調査では48種類の生育が確認された。一帯の森の植物のほとんどか出そろったといえる。それが翌年の調査(写真)では39種類に減った。9種類は競争で敗退したのか。そのなかでどんぐりの木は前年どおり3本が健闘中だった。2本が切られた跡地だ。ぜひ育ってほしい。
 
【なごや環境大学共育講座】(自主事業)
 この回では「ビオトープの生物と、魚道を遡上した魚類の調査」がテーマだ。
 休耕田を借りてピオトープを造ったのは平成15年だった。主宰は当会ではないが、企画や地主・地域との折衝、整備作業には会員の多くが参加した。今回の講師Iさんもその一人だ。ここの責任者でもある。
 受講生の一行が着くと彼が待っていた。水槽にたくさんの魚や貝類が入っている。メダカ、オイカワ、ドジョウ、カワニナ……どれもビオトープ池で採集したものだ。
 魚道は、ビオトープと、その下を流れる渓流をつないで設置されている。魚道の上端に取り付けられた魚溜りの網を上げると、多数の小魚が白い腹を見せてピチピチと跳ねた。一同から感嘆の声があがる。Iさんは話す。
「2週間に1回網を上げて、中に溜まった魚の種類と数を調べています。上にある築水池の水が堤防の耐震工事のために放流されたときは、遡上する魚が極端に増えました。池底の汚泥が濁流となって一気に流れたため、下流の魚は呼吸ができなくなり、清流の流れる魚道を上ってきたのです」
 堤防の耐震工事と裏腹の自然の虐待…。
 
【少年自然の家「わくわく自然ランド」】(受託事業)
 児童とその保護者が対象の自然体験である。少年自然の家周辺の森を散策する。季節ごとに「昆虫編」や「新緑編」などがある。参加者に自然の不思議や面白さ、感動をいかに体感してもらうかが、わたしたちガイドの務めだ。
 プログラムによっては芋煮が組み込まれることもある。少年自然の家の職員があらかじめ食材の下ごしらえをする。参加者は午前中自然を散策した後、芋煮づくりにかかる。親子共同の調理は、我が子に台所仕事を教える機会となる。ほかの家族との触れ合いの場ともなり、見ていてほほえましい。
 やがてよい香りが漂ってくる。森歩きのあとであり適度にお腹がすいている。自然の中とあって食欲も旺盛だ。満杯の大鍋がたちまち底をつく。
 
【少年自然の家「初夏のファミリーキャンプ」】(受託事業)
 対象は児童とその保護者である。参加者は少年自然の家でキャンプを楽しみ、翌日、わたしたちと森を散策する。
 参加者の反応や、感想の言葉は、わたしたちの伝え方を映す鏡だ。
「たびたび来ている森ですが、いつもは漫然と歩くだけでした。今日は知らなかったことがたくさん聞けて『目からうろこ』です」
「春日井にこんな自然があるとは知りませんでした。この自然を大切にしたいです」
「子どもが楽しそうにしていたので、連れてきてよかったと思います」
 ――子どもの感想はどうか?
「おもしろかった」
「木の名前などいろいろ聞けてよかった」
「芋虫がはじめは気持ち悪いと思ったけど、触ってみたら何ともなかった。手のひらに乗せたらモゾモゾしてくすぐったかったです」
 ――最初は気持ち悪がった子が実際に触ってみての感想の変化。○×年○月×日はこの子にとって「芋虫記念日」だ。

【野外学習のガイド】(受託事業)
 春日井市内の小学校では、5年生になると2泊3日で少年自然の家に出かけ、「野外学習」を行う。修学旅行や運動会に並ぶ大きな行事だ。それだけに児童の期待が大きい。
 3日間のうち1日をわたしたちがガイドを務める。児童にはほとんど初めての本格的な自然体験だ。驚き。不思議。感動……。この催しで開かれた自然への「目」が、児童のこれからの自然観を左右する。彼ら、彼女らが将来、自然環境保全の担い手になることを願っての取り組みである。写真は、外来種植物について説明を聞いているところ。
【野外学習のひとこま】(受託事業)
 野外学習で見つけたミヤマクワガタ。自然観察で昆虫といえば、第一にカブトムシ。次いでクワガタムシやカミキリムシとなる。だが、そんな人気者は、そうやすやすと見つからない。この日は幸運にもミヤマクワガタを見つけた。第一発見者はたちまちヒーローになった。
「なぜクワガタムシというか、わかりますか?」
「くわの形をしているから」
「では、くわの形って、どんな形ですか?」
「見たことがない」「作業小屋にあった」などの答が返ってきた。学校の中庭で花壇の手入れなどに使う道具と結び付けてようやく「納得」。

【野外学習のひとこま】(受託事業)
「この木の実はおもしろい形を形をしていますね。皆さんの体のどこかと似ているとすれば、どこでしょう?」
「……?」
「では、じゃんけんのグーを作ってみよう」
「似ている」―−何人もが答えた。
「握りこぶしに似ているので、この木はコブシの仲間・シデコブシといいます」
「殻が割れて赤い実が出ていますね。鳥に食べてもらいたくて目立つ色で存在をアピールしているのです。でも、なぜわざわざアピールまでして鳥を呼ぶのでしょう?」
「鳥に恵みを与えたいから」
「すばらしい。木は鳥に実を与えて鳥の命をつないでやります。その見返りに、鳥からしてもらうことがあります。何でしょうか?」
「……?」
「種を運んでもらうのです。糞といっしょに種を遠くに落とすことでわが身の繁殖を手伝ってもらうのです。種が落ちたところで新しい命が芽生えるので、互いに命の助け合いをしていることになります。植物と鳥は、持ちつ持たれつの関係にあるのです。
 児童の深くうなづく姿が印象的だった。
 
【野外学習】(雨天バージョン「パワーポイント」)
 雨天で外歩きができない場合は、屋内で自然学習を行う。一つは、パワーポイントを使った映像での解説だ。この地域で撮影した動植物を題材に、独自のストーリーを盛り込んだオリジナルの解説に、児童はあたかも実地を見ているかのようにスクリーンへ身を乗り出す。
 パワーポイントの良いところは、仮に晴天でコースを歩いても、運悪く出会えない昆虫や季節外の花でも、映像だとらくに紹介できる点た。しかも映像の編集いかんで、体系的なストーリーが展開できることである。
【野外学習】(雨天バージョン「工作」)
 雨天バージョンのもうひとつは、自然の素材を使っての工作。どんぐり、まつぼっくり、落ち葉、小枝、小石……。身近なありふれた材料からお気に入りの作品ができる意外性と喜び。それは、作者自身はもとより、サポートするわたしたちにも、大きなものがある。児童の創造性やアイデアに感心し、感動すら覚える。
 自然素材による工作は、児童の潜在的な創造力を引き出し、自然に親しむ心をはぐくむのに効果的な学習だ。


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